2018年3月2日金曜日

ロイ・ハーグローヴ・クインテット@ブルーノート東京



2018 3.1 thu. ブルーノート東京で、ロイ・ハーグローヴ・クインテットを聴いてきました。メンバーは、
Roy Hargrove(tp,flh,vo)
Justin Robinson(sax,fl)   
Tadataka Unno 海野雅威(p)    Ameen Saleem(b)   
Quincy Phillips(ds)
お目当ては、私は5年ぶりになる海野雅威のピアノ演奏。米国永住を決意して以来、何年にも渡って、米国で大活躍している。そんな彼のピアノがどう進化したのか、興味津々です。
さて、ブルーノートの店内照明が暗転し、バンドが、後方から入場。
リーダーRoy Hargroveは、赤茶系統の細身のスーツを粋に着こなしていた。他のメンバーも全員イカしたスーツでした。
そして、バンドスタンドに立つといきなり、トランペットを吹き出し、バンドは初っ端から強烈な熱を発して演奏が始まりました。
マイルスばりに、ノーMCで突き進みます。
ワンステージの全ての曲が、私にとっては、極めて馴染みやすいカッコいいテーマの曲ばかりで嬉しくなっちゃう。




さて、Roy Hargrove(tp,flh,vo) のプレイ。昨日は、その情熱的で明解で、リズミックなソロに圧倒されたけど、一夜明けて振り返ると、それは、凄い技巧に裏打ちされたものだった。この人は、技術の凄さを表面化して見せつけるのは、よしとしない。全ての技巧は音楽の構成のためにひれ伏すとしているかのようなプレイぶりでした。目の前で聴いているせいでしょうか、ラッパから飛び出る強い音、歌心溢れ、なおかつ衝撃的なスピード感溢れるソロは、誰とも比べられない。この人ならではのものです。最後には、渋いボーカルも披露して、サービス精神も旺盛です。
そして、Justin Robinson(sax,fl)、初めて聴くアルトプレーヤーです。昨日最も衝撃を受けたプレーヤーです。
大柄な体にアルトサックス、何やらユーモラスですが、ソロを聴いて驚いた。物凄いプレイ。次から次へと歌心溢れるフレーズが永遠に繰り出されるソロ。そこには、目も覚めるような超高速の指使いによるスピード。でもこの人は、フリーキートーンや、濁った音は一切出さないで、クリアで、硬質で力強い音色で押しまくります。出てくるソロの性質は、全く違いますが、パーカーやドルフィーはこんな風に吹いていたのかなとずっと思っていました。凄まじいソロの連続でした。   
Ameen Saleem(b)のベースも初めて聴きます。太く力強いながら、チェンバースのように柔らかい音色で、ガッチリしたビートを刻んでリズムの変化が物凄いバンドサウンドを基礎から固めます。一曲だけ長いソロを取りましたが、初めから終わりまで、無理、ムダ、もたれる音が一切無い、歌心溢れる素晴らしいラインを刻んでいきます。





Quincy Phillips(ds)も初めて聴くドラマーです。
スーツのジャケットを颯爽と脱ぎ、シャツとネクタイで、演奏です。1音目から分かりました。私の大好きなタイトな音のドラミングです。サウンドは、大きな音ですが、決して喧しくならないコントロール。海野のピアノの弱音部分にも決して邪魔にならないセンスあふれるプレイ。このグループのサウンドは、独特の強烈なリズムとビートなのでしょうが、それを引っ張る鮮やかなドラミング!!ソロでも、ムダなおかずがなく、鋭いシンバルワークに鮮やかなスネアショットで、曲の構成をしっかり伝える圧巻のソロでした。
そして、海野雅威(p)
ソロにバックに縦横無尽にプレイを決めて、このバンド、海野雅威が引っ張っているのかという勢いです。デビュー以来誰もが絶賛したテクニックとグルーブは、さらに進化して、それら全ては、美しい音楽を生み出す過程に過ぎないことを思い知らされます。ソロでは、これぞ、トランペットのクインテットのハードバッブだと言わんばかりに、カッコよく決めていきます。何より、彼の笑顔からは、演奏を楽しんで充足していることが顕著に感じられました。
あっという間のワンステージでしたが、ラストは、ロイとジャスティンが客席を練り歩いて退場し、ベース、ドラムも、そっと退場し、海野雅威(p)のソロが、アーシーなリズムで飛躍していき、最後は、名残惜しむような繊細なメロディを残して、そっとステージから、去って行きました。一回りもふた回りも大きくなった音楽家に感動して家路に着きました。

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