2018年3月3日土曜日

原尞講演会「沢崎と私の30年」を聴講してきました。



2018年3月2日
原尞「それまでの明日」刊行記念 原尞講演会「沢崎と私の30年」を聴講してきました。
14年待っていた沢崎!
楽しい講演会でした。


14年間何してたという質問も!
14年間楽しんだ。
早川書房編集部が、ユーモラスに悲壮に、14年間、携帯もファックスも持たない、電話もジャックから抜いてある先生に、必死にお願い、泣き落とし、催促を繰り返してきた歴史を振り返りました。
一番印象に残る言葉は、小説に書いたことしか沢崎について知らない。
沢崎は、モデルがいない。
それ以外の登場人物は、先生の中から生まれた。
プロットとかを立てるべきと思わない。
映像化についても、映画にかかわる仕事の経験もある先生は、無理だという認識。
それは、チャンドラーのフィリップ・マーローが小説の中では32〜33歳だが、語り口とか思考はもっと分別がある年上の人。この年齢のギャップが小説のきもであり、魅力である。
だから、数々のハリウッド映画が作られたが、若すぎたり(エリオット・グールド)、老けすぎたり(ロバート・ミッチャム)、ハンフリー・ボガードでもどうも合わない。
それは年齢のギャップの問題をクリアできないから。
若い二枚目俳優に演じさせて、語りをロバート・ミッチャムにしたらなんて思ったりします。
沢崎についても、小説の中の実年齢(30代)と、分別のある語り口、思考の年齢(40代〜50代)とを随分考えた。
ラジオドラマ化を許可したことがあった。
聴いて驚いた、俳優の語り口が気持ち悪くて、すぐ打ち切り。
この思考と行動のギャップ、年齢のギャップが小説の魅力であり、映像化が無理な理由である。

この話は、よく分かりました。小説を素直に読むと沢崎は結構乱暴な言葉で、冷たかったりする。
ハードボイルドの愛好者には、何の違和感も無い語り口なのに、初めて沢崎を読んだ女性から、沢崎は結構冷たいという感想を言われたことに驚いたことを思い出しました。

講演内容については、ミステリーマガジンに掲載予定です。

質疑応答タイム。
マニアの多様な質問
印象的な質問は、沢崎の車、ブルーバードについて
既に相当な距離を走っている。
車検を通すのか、廃車にするのか、買い換えるのか?
回答
新刊でその件は分かります。

何故、ブルーバードを選んだのか?何らかの思い入れがあるのか?
回答
私は運転しません。車も詳しくない。嘘くさくないように詳しい人から教わったりした。
探偵がブルーバード(青い鳥)にのるという比喩が気にいってるかも。
同様ににタバコもピース(平和)も比喩が、、、
昔、「金鵄」という名称のタバコが戦後変更されたことがあった。また、「金鵄」が蘇るような嫌な時代になってきている。

ブルーバードについては、私は驚きました。
沢崎は車にこだわりがあり、510という型式のブルーバードがサファリラリーなどで大活躍したタフな車だから選んだのだと思っていたので。



質疑応答も半ばまできて、ジャズピアニストの話を聴かないと原尞の世界は分からないのに。
これはまずいと思い、私が勝手にジャズファンを代表して😓質問した。
1970年代に先生の演奏を二度聴いた。
PIT INNと法政大学だったような気がする。
フリージャズのピアニストとして私の印象に残るリリカルな演奏(ちゃんと言ったか自分で疑問)だった。
ジャズが混乱してた時代に先生もピアニストとして苦闘されたと思う。
現在は、ジャズとどう付き合っているのか?

回答
大学になってピアノを始めた。
テクニックに限界があった。
やれること全てを広げた演奏だった。
ある時、凄いテクニックの後輩が現れた。
クラシックでもジャズでも何でも弾ける。
譜面を見て全部弾ける。
それを見て、思った。
弾ける事がジャズでは無い。
私の演奏は何を選択するのかを考えることだ。
そんなことで、ジャズを弾くより、
生まれた時から身についている日本語を書くという行為は完全に実現できることなので、自然に移行していった。
その結果がハードボイルド小説を書くことに繋がっていった。

現在、ジャズについては、新しい楽器が入れば、ワイワイと仲間で弾いたりするような関係。

現在の先生のジャズ観を聴きたかったが、先生にうまくかわされたようです。

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